万博ジュニアサッカースクール

北に陽を目指して「R」

2021年11月10日

背番号20 選手権 高校生活最後の戦い

昭和53年 1月4日の毎日新聞には、「西ケ丘サッカー場では午前8時から都内のサッカー部員約200 人を動員しての除雪作業で、 12時15分の第1試合にやっと間に合わせた」と掲載されています。

「おいなんやこれ。 凄いことになってるぞ」 実際に筆者たちが見た光景は、 除雪してかき集められた雪が1m位の雪の塊りとなって、タッチラインからゴールライン上を連なり、ピッチは巨大な雪の額縁でぐるりと囲まれたようでした。また、 除雪直後ですからピッチも水浸し状態。しかし、もうここまで来るとそんなことにも構っていられません。お互いに同じ条件での戦いが、今から始ろうとしています。

 

同日付けの毎日新聞では、 試合内容を 「ハイレベルの組織力を持つ浜名と、激しい当たりと走力の北陽が、 がっぷり四つに組んだ見応えのあるゲーム。 中盤で確実にパスを回し、 ゲームを組み立てる浜名はプレー判断タマばなれも早く、 多彩な攻撃をみせて前半20分間は押しまくった。 一方、北陽はFWの橋本にボ ールを合わせて起点をつくり、速攻で盛り返し互角にわたり合った。両チームとも守備が固く、80分間力をつくして、攻め、守ったが、ついに無得点」

 

続くPK戦の模様は、 [すべては精神力の差] と見出しがあり 「浜名は五人目のキッカーが、決めれば4-3で勝ちが決まるところだったが、ボールの下 をすくいすぎてバーに当ててしまった。 その結果サドンデスに突入しイレブンが全員登場。最後はGK同士 のけり合いにまでなったが、浜名のGKは力み過ぎてボールは大きくバーを越え、5年連続準優勝、実力の 静岡勢が消えてしまった。文字どおり総力戦となったが、失敗した味方選手にも拍手を送って励まし合い、 最後まで気力を失わなかった北陽に、2回戦進出の幸運が転がり込んだ」 と掲載されています。

 

次の戦いは、ベスト8を懸けて駒沢競技場で愛知県代表の愛知高校と対戦。キャプテン西田の豪快なヘディング シュートが決まり1-0。 北陽は1点を守りきってそのまま試合終了。大会第4日目の全ての試合結果は、 西目農業 (6-0) 星陵、浦和南 (6-2) 水口 、水島工 (1-1) 遠野、 水島工PK勝ち、 島原商 (3-1) 宇都宮農、 四日市中央工 (5-0) 韮崎、 習志野 (1-0) 門司、 帝京 (1-0) 鹿児島商そして 北陽 (1-0) 愛知。 同1月6日 (金) 付の毎日新聞では、〔ベスト8決まる 北陽は1点を守り辛勝〕と掲載されています。

 

秀英館にはOBの方々が続々と応援に駆けつけていました。中でも泊り込みで応援に駆けつけたC先輩とY先輩は、 浜名高との対戦前夜に必勝を誓ってホワイトホースという ウイスキーを1本空けていました。「全部飲んだから勝ったんや。必勝や。1本空けたら勝つ」とそれからは、連日、試合前夜にホワイトホースを1本空けていました。さすがに3日目、4日目になると二日酔い が、かなり応えたえた様子で 朝の散歩や朝食の時など顔色も悪く非常に辛そうでしたが、家庭を省みず正月を返上 して筆者たちの応援に駆けつけていただいた先輩たちの熱き思い には今でも感謝しなければなりません。2007年7月作成。(背番号21につづく)